脊柱管狭窄症のMさんの治療風景

ハリ灸では不適応としている所も多い脊柱管狭窄症の患者さんです。すでに5年以上悩まされていて、歩くのもしばしば耐えがたく、姿勢も悪くなっていく一方だそうです。

ご覧の通り、前にはある程度手がのびているようですが、通常の姿勢自体がすでに前屈みになっているので、本当にただ手がのびているだけ・垂れているだけのことです。

 腰の位置の筋肉が固まって久しく、中の骨まで圧迫して変形させている状態なので、上にはほとんど反らすことができていません。

腰と表裏の関係にある腹部にはほとんど力がなくなっていて、下腹にはしわも寄っています。

反応が出ている経穴ツボにはハリを刺すだけでなく、少しの時間置いておきます。

脊柱管狭窄症と病院で診断される前から長年悩まされながらも放っておいたのだという腰痛。

その腰には、たしかに筋肉のコリから最終的に骨をゆがめだしている形跡が凹凸や濃淡となって表れているので、そこにもハリを置いて、さらにモグサものせて、金属を伝って深部を温めていきます。

最後に体幹の熱を散らすお灸を手と足の末端におこなって、初回の治療は終了となります。

筋肉だけでなく、すでに骨がゆがんで中の神経を圧迫している状態にあるので、脊柱管狭窄症の場合は、まずは骨の周りの筋肉や、筋肉を動かす血液や気の流れをよくして、根本から緩めていくことが大切です。

通常の姿勢そのものがいくらかまっすぐになり、ご本人もおっしゃっているように、上に反らすのがずいぶんスムーズになっているのがおわかりかと思いますが、他の症例に比べると劇的とは言いがたいかもしれません。

 脊柱管狭窄症は加齢とともに進行していく症状でもありますので、進行をくい止め、根気よく治療し続けていくのが大切であることをお伝えしたく、Mさんにもご協力いただき、この場を設けました。

 東洋医学ショートショートの「case.16 〝 脊柱管狭窄症 〟」の方もあわせてご参考にしていただければと思います。