サンプル ③ 山口蕗さま(30代女性)

妊娠25週目の患者さんです。お顔の乾燥が気になるそうで、美容ハリをお願いしたいとのこと。

もちろん妊婦さんでも美容ハリのメニューは快く承りますが、全身治療のオプションとしてであることは変わりません。たとえば肩首が凝ったままの状態で、お顔だけにハリを打っていっても、リンパなりを顔だけで回すことになります。持続的な効果がのぞみづらいためです。

お着替えになられるのが難しいようですので、お洋服のまま施術していきます。妊婦さんの場合はなるべく治療が長くならないように、台座のお灸なども用いながら手早く進めていきます。

うつ伏せになることはもちろん出来ませんので、横向けになってもらい背中等にハリやお灸をしていくこともありますが、この患者さんの場合には座位にて残りの全身治療をおこないました。

「めずらしい御名前ですね」

「草冠に路と書きます」

「ええ」

「フキと読みます」

「ああ、フキノトウの」

「両親とも自然が好きで…」

 きっとお育ちがいい方なのでしょう。旧姓が松竹梅の〝松〟と海の〝波〟であることまで律儀に教えてくださいます。

「弟の名前は山水と書いてサンスイで」とまで続けてくださる口ぶりには、そこはかとない親しみやすさもあり、なんだか自分の妹にもそんな名前の女性がいた気になってきますが、ここは治療院。「でも、兄の名前はなぜかタローって犬みたいで…」 

 〝院長〟にもどって、いよいよ美容ハリに入っていきます。

たしかに全体的に乾燥している印象です。頬骨の下には老廃物と形容していいような古い水分がたまっている様子ですので、ハリを進ませて追い出していきます。

よそよそしい印象の治療前の硬い表情も、親しみやすいやわらかな表情になったのではないでしょうか。

みなさんにもこのような妹がいた気になってきませんか?

「顔がポカポカ☀ 滞りが流れました 山口」